ディレクション

スタイリング

和物

“うつつ”

出展:2020s/s 東京コレクション
公開:2020年

過去と現在の和装の所作をディープラーニングし、
佇まいに宿る“情緒”を可視化した
2020年 東京コレクション出展作品

“うつつ=現つ/虚つ”
日本の暮らしにおける江戸/現代の着物の着こなしを同様のシチュエーションで同等に撮影し、類似点を抽出するディープラーニングを行なった。
過去〜現代まで通貫する和装の佇まいに宿る”情緒”を描き出した映像作品。

ルームウェアとしての着物=夜着の提案

[夜着とは]
安土桃山時代〜江戸時代に用いられていた、着物の形状をした“衣服”と”寝具”の中間型。
掛け布団の前身とも言われ、綿の普及と共に着物に綿を詰め製作された。

掛け布団の前身として使われる夜着。(参照:時代風俗考証事典)

安土桃山時代以前の人々は着物をかけて眠っていたが、綿が普及し始めたことでその着物に綿を詰めた夜着ができた。(出典:東京国立博物館)

掛け布団の前身として使われる夜着。(参照:時代風俗考証事典)

“リラックス”をテーマにした、今と過去をつなぐ図案

邪気を払い、気持ちを落ち着ける古典文様をモチーフに、現代的な図案にデザイン。
京都の老舗染工場による手捺染で着物のレイアウトに施した。

YUME

江戸時代末期の語呂やなぞかけを使った言葉遊び”判じ絵”をモチーフに、包み込むような柔らかなリボンを書に見立て、一筆書きで“夢”を表現。端々には”邪気”を払う謂れのある荘厳なフリンジを施し、心地よい眠りへの祈りを込めました。

Using paronomasias (puns) from the end of Edo era.
As a motif, using a rebus of writing “夢(dream)” with a ribbon.
Fringes on the edges of the ribbon has meaning of purging noxious vapors.
We put our feelings for your comfortable sleep to this Yogi.

[生地/Material]
オーガニックコットン84%,絹/16%
縮緬(ちりめん)

Organic cotton 84%, silk 16%
Crape

[製法/methods]
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
botanical dyeing
Hand printing(silkscreen)

TAKARA TSUKUSHI

福を招き長寿をもたらす"鶴/亀"など、縁起のよいものを一同に集め、願いを叶える吉祥文様”宝尽くし柄”をモダンに表現しました。
豊かな眠りへの祈りを込めて。

Put the several lucky things such as cranes and tortoises all together and made them “Takara-tsukushi pattern” which has meaning of granting our wish.
We put our feelings for your delightful sleep to this Yogi.

[生地/Material]
オーガニックコットン84%,絹/16%
縮緬(ちりめん)

Organic cotton 84%, silk 16%
Crape

[製法/methods]
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
botanical dyeing
Hand printing(silkscreen)

RIBBON

様々な柄を束ねた華やかなリボンで、古典柄の代表格でもあり、長寿の象徴でもある”束ね熨斗(のし)柄”を表現。
健やかな眠りへの祈りを込めました。

Expressing traditional pattern of “Tabane-Nosh” which is a symbol of longevity with a bunch of ribbons tied in a bow.
We put our feelings for your healthy sleep to this Yogi.

[生地/Material]
オーガニックコットン84%,絹/16%
縮緬(ちりめん)

Organic cotton 84%, silk 16%
Crape

[製法/methods]
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
botanical dyeing
Hand printing(silkscreen)

今と過去の佇まいを、AIによるディープラーニングで
シームレスにつないだ映像表現

広大なランウェイを様々なモデルが歩くファッションショーの概念に反発し、今も昔も日本の家屋の基準である、四畳半の部屋を模した空間で構成した。

着物があたりまえに存在した過去と、着物に全く触れていない現代に応じた2人のモデルがこの部屋を舞台に髪を結わえ、着替え、日々を暮らす佇まいをヘアメイク/フィッティング/コレクションに見立て、ショーとして表現した。

それぞれの時代の2人の所作の類似点を抽出するため、AIによるディープラーニングを行い、過去〜現代まで通貫する和装の佇まいに宿る”情緒”を描き出した。

STAFF CREDIT

  • ファッションディレクション:山口壮大
  • AIディレクション/空間デザイン:ittan
  • ムービーディレクション:maxilla
  • スチルカメラマン/ライティング:TOKI
  • 音楽:塩塚モエカ
  • モデル(過去):花柳 凛
  • モデル(現在):モトーラ世理奈
  • ヘア&メイクアップアーティスト:計良宏文(資生堂)
  • 着付け:大竹恵理子
  • ロゴデザイン:山崎健太郎(NO DESIGN)